鳥谷崎神社(花巻市)概要: 鳥谷崎神社は岩手県花巻市城内に鎮座している神社です。鳥谷崎神社の創建は分かりませんでしたが、鎌倉時代末期の正和2年(1313)に社殿が再建している事から、古くから花巻の産土神的な存在だったのかも知れません。室町時代末期の天文5年(1536)に当時の花巻城の城主稗貫氏が城内に鎮座していた鳥谷崎神社、稲荷神社、八幡神社(康平3年:1060年源義家が勧請)の三社が合祀し「鳥谷崎座三柱神社」に改称しています。天正19年(1591)に行われた奥州仕置きにより綿貫氏が改易となり、代わって当地は南部家領となり、花巻郡代、花巻城に就任した北親子が引き続き鳥谷崎神社を崇敬し社殿の造営や様々な奉納物が寄進されています。
慶長5年(1600)の関ヶ原の戦いの際には、旧領主和賀忠親が一揆を発生させ、花巻城も戦場となり大きな被害がありましたが、すぐさま社殿が再建されています。
慶長18年(1613)に北松斎が死去した後は盛岡藩(藩庁:盛岡城)藩主南部家の一族が花巻城の城主を歴任し、鳥谷崎神社を引き続き庇護しています。明治時代初頭に発令された神仏分離令により仏式が廃され、明治時代末期に周辺の鎮守だった八幡神社、金刀比羅神社、神明社が合祀され、現在の社号である「鳥谷崎神社」に改めています。
鳥谷崎神社の社宝である南部義政甲冑は室町時代の永享11年(1439)に時の将軍足利義政の命により出陣した時に着用したもので、名称「藍革威胴丸1領 兜・大袖・小具足付」として昭和56年(1981)に岩手県指定文化財(工芸品)に指定されています。「駕籠」は15代将軍徳川慶喜の姉松姫が南部氏に輿入れの際使われたもので、名称「南部利剛夫人乗物(駕篭)1乗」として昭和35年(1960)に花巻市指定文化財に指定されています。
その他にも鳥谷崎神社には南部利敬が愛用したという「琵琶」、南部氏の参勤交代の際使用された槍(秀一)などを所持しています。又、境内の一角に花巻城の建物の中で唯一現存している円城寺門が移築されています。
北氏によって始められたという例祭は、城内全ての人が休日となる盛大な祭典で、現在は「花巻まつり」として山車12台、神輿100数十台が出る豪勢なもので、奉納される鹿踊は岩手県の無形文化財に指定されています。祭神:豊受姫大神、誉田別大神、豊玉姫大神、天照皇大神、須佐之男大神、大国主大神。
鳥谷崎神社:上空画像
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