長安寺(大船渡市)概要: 片杉山長安寺は岩手県大船渡市日頃市町長安寺に境内を構える真宗大谷派の寺院で、案内板によると「当山は、京都東本願寺の末寺で真宗大谷派に属する。開創は平安時代末期と思考される。開基は、正善坊と号し、気仙郡司の嫡流であったが宿因多幸にして、先に比叡山東塔に学び、帰国後、当地に一宇建立して長安寺となす。
当初は天台宗を継承したが二十一世正光坊が足利義満将軍の明徳2年(1391年)に現在の真宗に改宗し、以来ここに、四十一世の衣鉢を伝え今日に至る。弘治2年(1556年)火災に遭遇し惜しくも七堂伽藍の宝物等、悉く鳥有に帰せり。現在の本堂は、明治16年(1883年)の創建なり。
山門(楼門)は、寛政8年(1798年)竣工であるが藩主伊達公との軋轢に依って、工事中止の命を受けた未完成の建造物である。鼓楼、鐘楼は桃山建築を模したものである。諸殿全て、気仙匠の技術に依るものである。 長安寺 」とあります。
江戸時代後期には幕府を批判した事から罪人として追われた高野長英が長安寺に身を隠し、密かに地元の門弟などに蘭学を教えていたと伝えられています。長安寺本堂は明治16年(1883年)に造営されたもので入母屋、桟瓦葺、平入、桁行9間、正面3間向拝付。
山門は寛政8年(1798)に造営されたもので三間三戸、入母屋、銅板葺、総欅造り、高さ17.5mの二重楼門で文化財指定はされていないものの岩手県内最大級の規模を誇り、由来や歴史性、意匠など優れた建物だと思います。
ただし、当時禁じられた欅材の使用や、高さ制限を越えた事から仙台藩(宮城県仙台市:本城−仙台城)の藩主伊達家から工事を中止された事から、意匠の一部、扉、袖壁などは完成に至たらず「袖なしの門」の異名があります。
境内には「長安寺大イチョウ」、「奥州しだれ桜」の大木があり昭和47年(1972)に大船渡市指定天然記念物に指定されています。山号:片杉山。宗派:真宗大谷派。本尊:阿弥陀如来。
長安寺:上空画像
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