洞雲寺(大船渡市)概要: 法量山洞雲寺は岩手県大船渡市盛町宇津野沢に境内を構えている曹洞宗の寺院です。洞雲寺は室町時代の永禄3年(1560)、当時の領主で根城の城主、千葉盛綱が如玄大和尚を招いて開山したのが始まりとされます。一方、奈良時代に猪川村富岡に境内を構えていた「元基院」と呼ばれる真言宗の寺院が前身だったとも云われています。
如玄大和尚は大興寺(岩手県花巻市)の境内で住職である充照和尚に拾われ、養育された人物で、明応3年(1494)又は永正元年(1504)に普門寺 (岩手県陸前高田市)中興開山した名僧とされます。
慶安年間(1648〜1651年)の火災により堂宇が焼失し荒廃しましたが稲子沢家により再興され境内には七堂伽藍が造営されています。
洞雲寺の山門は竜宮門(楼門)と呼ばれる楼門で、一層部の端部が丸み帯び白漆喰で塗り込められているのが特徴です。浦島太郎に出てくる竜宮城の門にも似たようなものが出てきているので分かり易いかも知れません。
2層目は入母屋、桟瓦葺の重厚な屋根で、軒唐破風や高欄、花頭窓が付き意匠にも富んだ造りになっています。建築は文化年間(1804〜1818年)で気仙大工である古沢氏が建てたとされています。
本堂も天保年間(1830〜1844年)に建てられた古建築で入母屋、桟瓦葺、正面千鳥破風、平入、桁行8間、正面1間軒唐破風向拝付、竜宮門と同じく気仙大工の新沼幸作氏が棟梁となっています。本堂には明治29年(1896)に発生した明治三陸地震の津波で犠牲となった5678人の名前が刻まれた大位牌が霊を弔う為、奉納されています。
気仙三十三観音霊場第21番札所(札所本尊:聖観世音菩薩・御詠歌:つかひには いかでもらさん ぎゃくえんも 同じうてなに 法のはちしば)。山号:法量山。宗派:曹洞宗。本尊:三尊仏(推古天皇・虚空菩薩・聖徳太子)。
洞雲寺:上空画像
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